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企業インタビュー

2024.05.17

移住者が集まる吉野郡下北山村・上北山村。スローライフを手にいれる、林業の仕事とは

文 :さとう未知子
写真:吉野きたやま森林組合提供

奈良県の南東部に位置する、吉野郡下北山村。北側にある上北山村と合わせ、両村の森林整備事業を行うのが、今回ご紹介する「吉野きたやま森林組合」。下北山村は、「バス釣りの聖地」と呼ばれる池原ダム湖や七色ダム湖を有し、池原ダムのふもとにある「下北山スポーツ公園キャンプ場」は西日本で人気のキャンプスポット。シーズンには多くの人が訪れます。
「都市部にはない豊かさと、生きていくのに必要なものはここにある」そう話すのは、吉野きたやま森林組合の山岸 元博さん。山とともに生きる、スローライフの入り口を少し覗いてみませんか。

インタビュー:山岸 元博さん(参事)

苗木の植え付けから伐採まで、森づくりを行う

――吉野きたやま森林組合はどのような事業体でしょうか?
平成16年に、下北山村の旧下北山村森林組合と上北村山の旧上北山村森林組合が合併してできた森林組合です。この地域は、北部は吉野郡川上村、東部は三重県の尾鷲市や熊野市、南部は和歌山県北山村に隣接しています。
人口は1250名で、面積の95%は森林で四方を山に囲まれたいわゆる典型的な山村地域になります。

――事業内容について伺えますか?
当組合は他の事業体と比較して少し特殊で、山の木を伐採して、市場で売るという素材生産事業はしておりません。ダム上流の重要な水源地や集落の水源となっている保安林など、水源地域での森林の整備、保育・育成をする仕事になります。

――土砂崩れなどによる災害に対する防災機能を高めるための森づくりも行っているのでしょうか?
そうですね。実際の作業内容としては、木が伐採された後に放置されているような場所に人工林をつくっていくこと。苗の植え付けから、下刈り、枝打ち、間伐をメインにしています。山林保有者と一緒に、どのような森づくりをしようかという計画を立てて、実行していくことが仕事です。

――日々の作業のなかで大切にしていることはなんでしょうか?
それはやはり、絶対に怪我をさせないことですね。朝、元気に「行ってきます」と言って家を出たら、元気に「ただいま」と言う。当たり前のことですが、とにかく、安全第一で一日を無事にやってきたよということが一番大切なことだと考えています。

――そのために必要なことや心掛けていることはなんでしょうか?
自分の経験を織り交ぜながら、各自の性格や能力に応じて役割を振り当てていくことを心がけています。当組合は、奈良・和歌山県内に60箇所ほどの作業場があるため、環境に応じて対応していかなければいけません。広い視野を持って安全に作業することが結果、仕事の効率化につながる。常にいろいろな状況を想定しながら動いていくことが必要です。

移住者の多い、地域での暮らし

――吉野きたやま森林組合では、どのような方達が働いているのでしょうか?
現在、19名の職員が働いています。現場で仕事をする職員の平均年齢は46~47歳で、林業の事業所としては比較的若い世代が多いと思います。3~4名を1班にして業務にあたっています。地元出身の職員は少なく、7割が移住者。実は、私も福井県出身で大阪で仕事をしていたのですが、30歳のときに吉野郡下北山村に来ました。

――山岸さんは、どのような経緯で林業の仕事につくことになったのでしょうか?
30年ほど前になるのですが、以前勤めていた仕事のストレスで体調を壊してしまい、下北山村の池原ダムに釣りに通うようになりました。毎週通っているうちに、「もうここに住んじゃおうかな」と思うようになって住み始めたというのがきっかけです。どちらかというと、林業で働きたいと始めたというよりは、ここで住もうと思ったら、林業の仕事があったという感じです。

――働いてみてどのように感じましたか?
この地域で仕事をしつつ生活をすることになんのストレスもありません。この地域は、山奥で不便な場所のように思えるのですが、暮らしやすいですし、街にも意外と近い。不便なことは何もない。「住んでみたらどうにかなるもんだな」と思いました。

――どういう方がこの仕事に向いているでしょうか?
林業はチームワークなので、協調性を保てる方が良いと思います。コミュニケーションを大切にして、初心者は、現場の方からひとつずつ作業を覚えていただきます。
そのうち、経験を積んでくると、言われた仕事をするだけでなく、「こうしたらどうだろう。ああしたらどうだろう」と常に考えていかなければいけません。現場で感じることが大切で、嫌だなと思った時にはストップをかける勇気も必要です。どうしてもその木を伐らなければいけないというわけではないので、危険だと思ったら止めること。自然を相手にする仕事なので、そういった感覚を身につけながら、できることを習得していく。自発的に成長したいという思いを持って入ってくる方が良いと思います。

インターンシップで、林業体験を行う

――仕事の環境づくりとして、アピールするポイントはありますか?
応募がありましたらまずは5日間、体験入社して山に入っていただくインターンシップ制を設けています。組合所有の単身者用宿舎として5人分の棟と女性専用棟もあり、家庭をお持ちの方には公営住宅を紹介しています。

――宿舎も用意されていて、体験ができるのはとても入りやすいですね。そうすると、入社して「イメージが違った」というギャップが無さそうですね。
そうですね。直近では、8名の方が入社したのですが、離職は0ですね。

――その他にも、特別な福利厚生はありますか?
中小企業退職金共済制度を使っていますので、退職金も支払えるようにしています。また、有給休暇の消化も勧めていますので、休みは取りやすい環境ですね。

――この地域に住む魅力について、伺えますか?
移住者の方が多いので、都会暮らしから自然豊かなところで住みたいという方には馴染みやすい環境だと思います。最初にもお話ししましたが、和歌山県や三重県との境となる場所なので、車さえあれば色々な所に行きやすい。車で30分ほどで海にも出られますので、実は林業する人の中で休日は海に行かれる方が多いです。近くにダムがあり、河川での釣りや、登山、ハイキングなど趣味の選択肢が多い点が特徴です。また、この地域には世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる「大峯奥駈道」もあり、歴史や文化も感じられる場所です。職員も、休みの日には何をしようかと楽しみに考えている人が多いです。

――林業について、今後どのようになっていって欲しいと考えていますか?
今は、全国的に林業の従事者が減っている状況ですが、若い方に入っていただき、人口が増えて欲しい。憧れの職種、人気の職業になって欲しいと思っています。そのためには、今働いている人たちが楽しく働けることが必要。入ってもらったら、みんなで幸せになるような仕事場にしていきたいと思っています。

――最後に、林業に関わる仕事をしてみたいと思っている方に向けてメッセージをいただけますか?
林業と一口に言っても、地域によってやり方や、仕事の仕方も大きく変わります。特に、当組合の場合は、素材生産ではなく、森づくりに関わる仕事というのが大きな違い。一本一本の木の価値を考えるということではなく、豊かな自然を守っているという誇りにもつながります。やってみて合わなかったら、それはそれで良いのではないでしょうか?まずは一度体験してみて、大自然の中で生きる心地よさ、生き方を感じてみてください。


林業の仕事に携わるということに、敷居が高いと考える方は多いかもしれませんが、「林業をしたい」ということが理由にならなくても、「今の生き方を変えてみたい」という漠然とした想いからでも始められる。山岸さんの話からは自身の経験をもとにした、この地域で暮らすことの豊かさや、人を大切にする仕事環境を感じました。「行ってみようかな」その心の動きで、人との出会いが生まれ、新たな人生のスタートになるかもしれません。

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Profile

企業名:吉野きたやま森林組合
所在地:奈良県吉野郡下北山村大字浦向430番地
電話番号:0746-86-0311
URL:http://www.yoshinokitayama.jp//

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